地球もそうだが、太陽系の惑星は、太陽の回りを回っている。太陽の質量が、惑星に比べて、とても大きいので、惑星は太陽を中心に回っているように見える。引力は質量に比例するが、もし太陽の引力がなければ、慣性にしたがって、惑星はそのままどこかへ飛んでいってしまう。

さて、もし、太陽が突然なくなるとどうなるか。実際にはそんな突拍子もないことは起きないだろうが、もしも、という仮定だ。実はおもしろいことがわかるのである。
つまり、太陽が突然消えて、引力が働かなくなっても、いきなり惑星が外に飛んで行ってしまうことはない。公転はしばらく続くのである。どの位、続くのか。それは引力が光の速度と同じ速さで作用していることから類推できる。つまり、太陽がなくなってから、引力の作用が光速で到達しなくなるまでの時間、惑星の公転が続くのである。言われてみれば、そうか、と思うが、頭で考えて、いきなりそのイメージを描くのは難しい。
太陽系のような大きな問題で考えると、このような相互作用は、まあ、何とか理解できる。ところが、量子力学における粒子レベルの相互作用はもっと難解である。量子力学では光すら光子という量子単位に落として考える必要があるからである。
さて、量子力学において、「量子もつれ(Quantum Entanglement)」と呼ばれる現象がある。そのままカタカナで、エンタングルと呼ばれることもある。
説明のため、2つの粒子A、Bから成る系を考える。それぞれのスピン量をベクトルとして単純化して考えてみると、粒子A、Bはある時刻においては、それぞれ1/2、-1/2のベクトル量となり、足し算するとゼロになる。量子力学によると、測定結果として1/2と-1/2がそれぞれ確率が1/2で得られるという状態だ。
そして、片方の粒子の測定結果が1/2であれば、結果的に系の状態を保つためには別の粒子は-1/2となる。これは100%そうなる。つまり、粒子の片方を測定して値が1/2だった場合、もう片方は測定する必要もなく、-1/2となる。つまり相関関係があるのである。
しかし、粒子A、Bは同時刻には空間的に離れた場所にある。どうも時間的な遅れがないようなのだ。ここが太陽消滅問題のようなマクロ的な話と異なる。粒子Aに対する測定結果が、瞬時に粒子Bの結果を導き出す。このような関係は、単純に2粒子間の相互作用と考えるわけにはいかない。
むしろこの結果は量子が持つ特有の性質として理解されるべきである。このような状態が持つ相関が、量子もつれ、すなわちエンタングルと呼ばれる現象である。量子レベルでは、光速という概念すら導入できず、太陽が突然なくなるような相互作用とは異なる原理によって、それぞれの粒子に相関があるようなのだ。
瞬時に相関している光速を超えた関係。これこそ、2つの粒子が別の次元で、つながっている証拠ではないだろうか。(この項、続く)
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posted by 火星ちゃん at 14:41|
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