2010年10月14日

ガンマ線バースト

同じ速度で、同じ方向に進む2台の自動車は、お互いから見ると、止まっているように見える。当たり前のような話だが、これがニュートン力学での考え方だ。

さて、同じような話を、宇宙で考えるとどうなるか。つまり、宇宙が膨張していて、遠くの星は、地球から離れる方向に動いている。遠くにあればあるほど、離れるスピードは速い。ということであれば、地球から見ると、その星から発せられた光の速度は、通常の光速よりも遅くなるのではないかと思う。しかし、実際はそうではない。ものすごいスピードで地球から遠ざかっている星からの光の速度も実は変わらず一定なのだ。

光の速度が運動している物体から発せられても変わらないということは、1887年にアルバート・マイケルソンとエドワード・モーリーの2人によって行われたマイケルソン・モーリーの実験で証明された。エーテルに対する相対運動が検出されなかったのである。

そして、1905年に、アインシュタインの特殊相対性理論の骨子となっている光速度不変の原理、つまり「真空中の光の速さは、光源の運動状態に影響されない一定値cである」という理論によって、エーテルの存在ははっきり否定された。光の速度が変化しないことを理論化したのである。

真空中でも光が伝播するのは、光が電磁波の一種だからだ。電磁波というのは、エネルギーの放射現象であり、空間の電場と磁場の変化によって形成された波あるいは波動のことである。電磁波は、波長の長い方から、電波、赤外線、可視光線、紫外線、X線、ガンマ線などと呼び分けられている。電磁波の速度は不変であり、秒速約30万km(正確には299,792,458m/s)であり、一般には真空中の光速度と呼ばれている。

X線とガンマ線は、どちらも電磁放射線と呼ばれる電磁波の一種であるが、波長だけでは区別することができない。本来、その発生機構により区別されるものであるが、発生機構の違いが重要ではない場合は、波長領域の区分として一意的に扱い、X線よりも短い波長領域の電磁波をガンマ線と呼ぶこともある。
grb_image_jp_sm.jpg
発生機構というのは、ガンマ線の場合、電子と(反粒子である)陽電子が衝突し、エネルギーに変換されるときに発生する。ガンマ線バーストではガンマ線が数秒から数時間にわたって大量に放出され、その後、X線の残光が数日間見られる現象である。その発生機構から、ガンマ線バーストは、超大質量の恒星が一生を終えるとき、極超新星となり爆発し、これによってブラックホールが形成され、バーストが起こるのではないかと推測されている。しかし、これで正しいということにはなっておらず、未だ解決されていないホットな問題である。

図は、京都大学のサイトに掲載されているガンマ線バーストの解説と想像図。

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posted by 火星ちゃん at 16:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年10月12日

我思う、故に我在り

過去の地球上での大量絶滅の原因は、隕石の衝突によるもの、というのは一般的にも理解されていることだ。しかしながら、最近、その原因が別にもあったのではないか、という研究が論議を呼んでいる。その原因とされているのが、ガンマ線バースト(GRB:Gamma-ray Burst)と呼ばれる現象である。

いかにも難解そうであるが、事実、GRBの研究は最近の天体物理学でも、超弦理論、M理論に負けず劣らず、はっきりとしない問題である。そもそもガンマ線とは何か。これ自体を理解することも相当難しい話だ。

ここでもアインシュタインが登場するわけだが、アインシュタインの特殊相対性理論で明確に示した重要な証明がある。それは宇宙空間に満たされた”エーテル”と呼ばれる光を伝播する媒体の否定である。エーテルは、「天動説」と並ぶ、間違っていた仮説の代表格かもしれない。なぜそのような仮説が出てきたのか。それは、光とは何かという、意外に難しい問題の説明のために考えられた。

エーテルの概念は、古くから存在していたらしいが、真剣に理論化するきっかけを作ったのは、17世紀のフランスの哲学者、ルネ・デカルト(写真:1596−1650年)である。200px-Frans_Hals_-_Portret_van_René_Descartes.jpg「我思う、故に我在り」という哲学史上、最も有名な命題の発案者であるデカルトはあらゆる物質の隙間を埋める「微細な物質」を仮定し、それが光を伝播させると考えた。思いついたきっかけは、ぶどうの樽につまったぶどう酒のようなもの、ということだそうだ。

ぶどうではなく、りんごが落ちるのを見て万有引力を発見したニュートン(1642−1727年)もエーテルの存在を仮定した。ニュートンは光が粒子であると考えたが、粒子の性質では、光の屈折や回折を説明できない。そのため、光よりも速い振動を伝える媒質を「エーテル媒体:Aethereal Medium」と名付け、光の屈折の説明を試みた。

ちなみに、エーテルの語源はギリシャ語の「燃やす」「輝く」などの意味であり、ラテン語から英語になり、英語ではaetherまたはetherと綴られる。コンピュータのイーサーネット(Ethernet)のイーサーと同義である。

(この項、続く)

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posted by 火星ちゃん at 10:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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